さん、まだ休んでいた方が…。」
「いいんです、やらせてください。」


先ほどのまゆ子の件もあり、彼女の心配をする江川。そんな江川の言葉に耳も傾けず、彼女は忙しなくROMESを操作していた。「でも、」と江川が口籠ると、彼女は悲しげな表情で「…私に出来ることは、これ位しかないんです。」と弱々しく答えた。そんな彼女の心情を汲み取ったのか、江川はそれ以上何も言わなかった。


「調べ終わりました。」
「それで、結果は?」
「はい。木村まゆ子の車ですが重量監視システムで検索したところ、まず駐車場に入ってきたときには1092kgでした。しかし出て行くときには1147kgと、丁度成人女性一人分の重さが加算されていました。」


つまりは、このエリアに入ってから出て行くまでの約10分間に、深川秋子の死体が運び込まれたと見て間違いないということだ。彼女はROMESを操作しながら説明を続ける。


「しかし、ここで問題点があります。」
「どうした?」
「車が死角に入り、木村まゆ子が姿を現すまで23秒。そして、車に戻り発進するまでが25秒。」
「…わずか30秒足らずの時間で殺害・死体の運搬まで女性一人でやったと見るのは無理がありますね。」
「そういうことです。」


分析結果を一通り説明し終え、彼女は小さく息を吐いた。自分が出来ることはROMESを使って状況を整理すること。そして、まゆ子を信じること。まゆ子が人を殺すはずがないと警察に言ったところで何になる訳でもない。ただこうして、信じて待つしかないのだ。彼女は自分の無力さを改めて痛感した。


「そういえば、貝田はまだかくれんぼを続ける気ですかね。」





(091211)